親孝行だけど無知な男が、殿さまから大きな鏡をもらいます。
「あれ、死んだはずのおとっつぁま!」
鏡を知らない男はそう思い込み、鏡の入った箱を大事にします。
その箱入り鏡を覗いた男の妻。
「あれ、こんなみっともねえ面の女と浮気して!」
夫婦げんかになります。それを止めに来た尼さん。
「けんかはやめな。中の女も面目ないと思ったか、坊主になって詫びている」
麻生芳伸編『落語百選・春』(社会思想社 一九七九)から 勝手に要約
・・・・・・『ドラえもん』や『ブラウン神父』シリーズにも、これに似た趣向の話がありました。
なんでこの話を思い出したかというと、精神分析学の諸派というのは、もしかしたら無意識という巨大な鏡に、分析家たちがそれぞれの鏡像を移しただけなんじゃないかとか、大それた仮説を考えついたので。
そんなわけないですね。羅漢になってお詫びします。