核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

火つけ白秋

 月も変わることだし、北原白秋ネタはこのへんで一時打ち切って、伊藤野枝「火つけ彦七」論にもどろうと思います。

 とはいえ、問題意識は共通とはいえないまでも連続はしています。公正世界仮説、すなわち、

 

 「自分(たち)はこれだけの損害を受けた。従って、相手(たち)もそれだけの損害をこうむるべきだ」

 

 という、間違ってはいても根強い世界観です。北原白秋はそれを「さしちがへ戦法」と呼び、後の神風特攻隊に通じる自爆戦法を賛美しました。もちろんそんな「戦法」で近代戦に勝てるわけはなく、無意味に味方の犠牲者を増やしただけです。

 火つけ彦七は他人に犠牲を強いたわけではなく、自らの手のみで行動するだけ、北原白秋よりははるかにましな人間なのですが、自他を不幸にするだけなのに代りはありません。

 公正世界仮説や差し違え戦法に代わる、新しい倫理が提示されなければなりません。