核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「走れメロス」とか、シラーの「人質」とか、シチェドリンとか

 小林秀雄週間と宣言しておいて何ですが、「走れメロス」のことが頭にひっかかって。もとネタとされるシラーの「人質」が、検索したらネットで読めました。

 ほぼ、「走れメロス」。山賊の数が3人+αで、素手のメロスが武器を奪って3人を倒したところで残りは逃げたことになってます(つよい)。王の回し者ではないようです。まあ、メロスの帰還を疑っている王が回し者を送るのは矛盾してるし。

 あとは道中で力尽きたメロスが、

 

 「正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい」

 

 と愚痴る場面が太宰独自です。このまま逃げたらまさに「太宰らしい」作品なんでしょうけど(檀一雄を宿屋の借金の人質にしてそのまま逃げた話は有名ですね)。

 無事に間に合い、王さえ感動させる結末はシラーも太宰も同じ。

 前にも引用した星新一のエッセイ「いわんとすること」で、ロシアの風刺作家シチェドリンが結末に鋭いひっくりかえしをつけ、読んでびっくりしたことがあるとのことでしたが、シチェドリンは検索しても読めませんでした。また国会図書館案件ということで。