核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

吹浦忠正「「平和」の歴史   人類はどう築き、どう壊してきたか」(光文社新書 二〇〇四)その4 平和念仏論への批判

 「平和念仏論」という語に抵抗を感じる方もいらっしゃる方もあるかも知れませんが、戦後平和主義の陥りがちな欠点を指した言葉です。以下、岡本幸治「平和念仏と戦後平和主義の特性」(月刊『日本』二〇〇三年九月号)が指摘する戦後平和主義の9つの類型を、吹浦著より孫引きします。

 

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天下り平和主義(占領軍に下賜された平和主義)

②他人の褌平和主義(憲法の前文を信じる)

③センチメンタル平和主義(宣言すると平和になると思い込む)

④反作用平和主義(厭戦という消極的心情の反作用)

⑤甘ったれ平和主義(軍事から目をそむければ平和が来る)

⑥コンプレックス平和主義(欧米信奉の平和主義)

⑦カムフラージュ平和主義(米国批判、社会主義信奉を隠す)

⑧トクトク平和主義(平和主義に徹すれば軍事費はかからない、税金は安い)

⑨一国平和主義(日本国内だけで通じる)

 吹浦著一〇頁より 改行を補った

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 苦々しくも的確な戦後平和主義批判です。

 この中でも、私が特に許しがたいのは⑦カムフラージュ平和主義です。

 平和主義を社会主義革命思想の隠れみのに使うのは、もうかんべんしてほしいものです。マルクスと平和主義は決して相容れません。