本当は、「自称進歩主義ほど進歩しないものはない!」と断言しようとも思ったのですが。
いい例が、毎年8月になるとマスメディアが繰り返す、太平洋戦争への反省の言説です。2022年も2023年もかわりばえしませんでした。去年はこれこれの課題を達成した、今年は次の課題にとりかかろう、そして来年は戦争がなくなる年にしよう、といった意味での、ほんとうの進歩が見られないのです。
私はいわゆる進歩主義者ではないので(もちろん保守主義者でもありません。私が明治大正の埋もれた文献を主に扱うのは、現代を変える言葉を探すためです)、階級闘争にもとづく進歩史観なんてものはまったく信じていません。ほんとうの進歩とは、階級なんかではなく、個人たちの孤独な努力によってなされるものです。