核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

唐突に創作むかし話

 アンタルキダス作  タヌキになったキツネ
 
 キツネの森に、とても大食いのキツネがいました。いつも食べてばかりいたので、とてもキツネには見えないほどふとっていました。
 「けしからん。キツネの風上にもおけんやつだ」
 「あいつをこのままにしておいたら、わしらの食べるものがなくなってしまう」
 というような声が、森のキツネたちの間で高まりました。居心地の悪くなったでぶギツネは、ありったけの果物と木の実をかかえて、あてのない旅にでました。
 てくてくと歩いていくと、前方にタヌキの森が見えます。でぶギツネは目のまわりにどろをぬって、のこのこと入っていきました。
 「はじめまして。ぼくは通りすがりのタヌキです」
 「おお、遠いところをよくきなすった。ゆっくりしていきなされ」
 森のタヌキたちのだれ一人として、こいつはもしやキツネでは、などとうたがうものはありませんでした。それほど、でぶギツネはふとっていたのです。タヌキの森に腰をすえたでぶギツネは、あいかわらず食べてばかりの日々を続け、とうとうタヌキにさえ見えないほどふとってしまいました。
 「けしからん。タヌキの風上にもおけんやつだ」
 「あいつをこのままにしておいたら、わしらの食べるものがなくなってしまう」
 というような声が、森のタヌキたちの間で高まりました。居心地の悪くなったでぶギツネは、ありったけの果物と木の実をかかえて、あてのない旅にでました。
 その後、聞くところによると、ブタの森に最近ひっこしてきたというふとったブタは、どことなくあのキツネに似ていたということです……。
 
 教訓。朱に交われば赤くなる。青は藍より青し