大逆事件の5年前。『新生活』よりもさらに前、キリスト教社会主義の機関誌『新紀元』に木下尚江が書いた皇帝暗殺否定論です。
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六月二十二日諾威皇帝の戴冠式に際し、瑞典皇帝を暗殺せんとの陰謀発覚したりと伝ふ、吾人は無政府党の実行手段に向て絶対的反対の意見を表する者也、之を無政府党の立場より観ずるも、此の如き手段は偶々以て被害の皇帝に世界の同情を寄せしむるに過ぎざるを思へ
木下尚江「無政府党に反省せよ」 『新紀元』 1906年7月10日
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ウィキペディアの「スウェーデン=ノルウェー」の項(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC)を見たところ、ノルウェーのスウェーデンからの独立が戦争直前にまで至った記述はありましたが、暗殺未遂事件については書かれていませんでした。今日、図書館で調べてみるつもりです。
暗殺は悪であるのみならず、逆効果でもある。大逆事件の前後を通して、木下尚江がその信念を曲げることはありませんでした。