小林秀雄とは何の関係もありませんが、ほほえましい話なので引用してみます。
友人のシャニュあて、「ハーグ、一六四七年六月六日」とある手紙の一節。
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たとえば、私は子供のころ、同い年の女の子が好きでした。ところが彼女は、いくぶんやぶにらみであったため、視点の定まらない彼女の目を
眺めるにつけ、視覚を通して私の脳髄に形づくられた印象は、私のなかに愛の情念を動かすよう、やはりそこに形づくられていた印象と、あまりにもぴったり結びついてしまった結果、のちのちになってまでも、やぶにらみのひとに出会うたびに、ただ彼らにこの欠点があるというだけで、それ以外の人たちに対してよりも、よけいに愛情の傾くのを感じました。(略)
このようにわれわれが、わけも分からずだれかを愛したい気持になった場合、それがなにかは不明であっても、以前愛をいだいたことのあるべつの相手にあったものと、どこか似ているなにものかが、そのひとのうちにあることに由来していると考えて、よろしいでありましょう。
(410ページ)
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