核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

デカルトの初恋 (白水社『デカルト著作集 Ⅲ』1973 「書簡集」 より)

 小林秀雄とは何の関係もありませんが、ほほえましい話なので引用してみます。
 友人のシャニュあて、「ハーグ、一六四七年六月六日」とある手紙の一節。
 
    ※
 たとえば、私は子供のころ、同い年の女の子が好きでした。ところが彼女は、いくぶんやぶにらみであったため、視点の定まらない彼女の目を
眺めるにつけ、視覚を通して私の脳髄に形づくられた印象は、私のなかに愛の情念を動かすよう、やはりそこに形づくられていた印象と、あまりにもぴったり結びついてしまった結果、のちのちになってまでも、やぶにらみのひとに出会うたびに、ただ彼らにこの欠点があるというだけで、それ以外の人たちに対してよりも、よけいに愛情の傾くのを感じました。(略)
 このようにわれわれが、わけも分からずだれかを愛したい気持になった場合、それがなにかは不明であっても、以前愛をいだいたことのあるべつの相手にあったものと、どこか似ているなにものかが、そのひとのうちにあることに由来していると考えて、よろしいでありましょう。
 (410ページ)
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 ・・・この著作集三巻の巻頭には、デカルトの教えを受けたエリザベト王女やスエーデン女王クリスティーナの肖像画も載っているわけですが。
 柴咲コウのようにきりっとした眼のエリザベト王女に比べ、クリスティーナ女王の方はいくぶん癒し系というかゆるふわ系というか、目の焦点が合ってない印象を受けます。超大国の女王陛下をわざわざ実物より悪く描くとは思えないので、実物もこうだったのでしょう。いや、だからスエーデン行きを決意したってわけではないでしょうけど。
 哲学者ルネ・デカルトの波乱の生涯をラノベ化する企画はないもんでしょうか。俺の王女と女王が修羅場すぎる件。