核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

夏目漱石「思い出す事など」より オリヴァー・ロッジの「死後の生」への言及

 「思い出す事など」が収録された、新潮文庫の『文鳥夢十夜』は私の人生をふみはずさせた一冊でして、ぼろぼろになるまで読んだはずなのですが、コヒラーの発明者ロッジの名前が出てきていたとは気づきませんでした。
 初出は1910(明治43)年10月~1911(明治44)年4月の『朝日新聞』(未見)。以下、引用は青空文庫より。
 
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 自白すれば、八九年前アンドリュ・ラングの書いた「夢と幽霊」という書物を床の中に読んだ時は、鼻の先の 灯火 (ともしび ) を一時に寒く眺めた。一年ほど前にも「霊妙なる心力」と云う標題に引かされてフランマリオンという人の書籍を、わざわざ外国から取り寄せた事があった。先頃はまたオリヴァー・ロッジの「死後の生」を読んだ。
 死後の生! 名からしてがすでに妙である。我々の個性が我々の死んだ 後 (のち ) までも残る、活動する、機会があれば、地上の人と言葉を 換 (かわ ) す。スピリチズムの研究をもって有名であったマイエルはたしかにこう信じていたらしい。そのマイエルに自己の著述を捧げたロッジも同じ考えのように思われる。ついこの間出たポドモアの遺著もおそらくは同系統のものだろう。
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 …さらにアマゾンで検索したところ、オリヴァー・ロッジ『レイモンド―「死後の生存」はあるか」という邦訳があるそうです。 深入りしない程度に調べてみます。