郵便事故に懲りたのか、今回は蓄音器の録音盤でメッセージを送る話です。
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箱の中より第一号原版を取出し蓄音器に挿(さしはさ)み螺旋(らせん)を廻して発音せしむればお富嬢の電話口調が現はれたり「モシモシ貴郎(あなた)は雲野さんですか、私は北京に居ます富ですがネ」
(近代デジタルライブラリー 『日の出島 曙の巻 上下巻』 171/197)
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内容はロシア軍の行状に関わる機密情報でして、第三者に盗み見られるのを防ぐ必要があったのでしょう。
遅塚麗水の短編「電話機」(1890)にはまだ「もしもし」は使われてませんでしたが、この時代(1900?)には普及した模様です。