核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『東方見聞録』に描かれた元寇

 「さて、クビライ・カーンはこの島の豊かさを聞かされてこれを征服しようと思い」(月村辰雄・久保田勝一訳『マルコ・ポーロ 東方見聞録』(岩波書店 2012 198ページ))で始まる日本遠征記。けっこう長いので箇条書きで。

・二人の将軍による渡海。平野と村落を占領。
・凄まじい北風。軍隊の大部分が滅ぶ。三万の生存者が小島に漂着。
・サパング(日本)の舟が小島を攻める。
・戦いに慣れていないサパング人は舟に兵を残していなかったので、逆に遠征軍に舟を奪われる。
・遠征軍、そのままサパングに上陸し、その首都を占領。
・サパングの王と軍隊は小島を脱出し、己の首都を包囲。
・遠征軍は七か月の籠城のすえ降伏。1268年のこと。
・緒戦でのこと。サパング兵のうち八人は魔法の石により不死身だったが、棒で殴ったら死んだ。

 …実際の文永の役は1274年、弘安の役は1281年。3行目あたりから風向きが怪しくなったようです。暴風で全滅しましたとも報告できず、生存者が武勇伝をねつ造したのではないでしょうか。