黄金の国呼ばわりされていることは知られていても、そこから先の記述はあまり知られていないのではないでしょうか。今回、図書館で『平家物語』を入手しそびれたこともあり、こちらを紹介します。
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サパング(日本国。他のフランス語写本でシパング)は東方の島で、大洋の中にある。大陸から一五〇〇マイル離れた大きな島で、住民は肌の色が白く礼儀正しい。また、偶像崇拝者である。島では金が見つかるので、彼らは限りなく金を所有している。しかし大陸からあまりに離れているので、この島に向かう商人はほとんどおらず、そのため法外の量の金で溢れている。
この島の君主の宮殿について、私は一つ驚くべきことを語っておこう。その宮殿は、ちょうど私たちキリスト教国の教会が鉛で屋根をふくように、屋根がすべて純金で覆われているので、その価値はほとんど計り知れないほどである。(略。床や窓も金製で)赤い鶏がたくさんいて、すこぶる美味である。多量の宝石も産する。
月村辰雄・久保田勝一訳『マルコ・ポーロ 東方見聞録』(岩波書店 2012 197ページ)
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成立時期は1298年だそうです。年代からして金閣寺ではなく、中尊寺金色堂の噂が誇大に伝わったものかと思われます。
ここまではよく知られていますが、今回はそのあとの元寇の記述に感銘を受けましたので、午後にでも引用しようかと思います。
しかし赤い鶏。黄金や宝石と並べるほど、日本の鶏は有名だったのでしょうか。