核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

北川実「非殺傷兵器―その開発動向について―」

 『陸戦研究』1994年6月号。著者は陸自二佐の方です。
 20年以上も前の論ですが、現状分析はともかく将来への提言は決して古びていません。特に日本の防衛政策に関するくだりは。
 
   ※
 「大規模な破壊や環境汚染を伴わないで被害局限を狙いとする非殺傷兵器を防衛力整備の目標に据えることになれば、一方では周辺諸国に与える脅威感を低下させることも考えられ、軍縮時代の趨勢に適合した選択という見方もできる」

 「「冷戦後に始まる軍拡競争は、最大の殺傷能力を追及する競争ではなく、殺傷能力を成し得る限り低くしようとする競争である。」というアルビントフラーの言葉「戦争と平和/扶桑社1993.1〕を借りるまでもなく、(略)我が国独自の立場から非殺傷技術・兵器を考える意義は極めて大きいと考えるものである」
   ※

 相手への脅威感を減らすことにより、軍拡競争を軍縮競争に変えることはできないか。私も漠然とは考えていたのですが、専門家の方に言っていただくと説得力が違います。
 その後20年余の歴史は、ご存じのとおり北川氏やトフラーのめざした脅威低下の方向には進まなかったわけですが…非殺傷兵器への議論の深まりが望まれます。