核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

中山孝一『日本憲法改正論』(1930) その2

 大日本帝国憲法の改正を訴える中山著から、前回引用し落とした箇所をいくつか。

 「(政党政治遂行の障碍は)曰く枢密院、曰く陸海軍、曰く貴族院等である」

 「無理は無制限より生る
  君主の権力は憲法に依て制限せられ、衆議院議員の権能は解散に依て制限せらる。独り貴族院議員の権能に制限なければ無理を徹ふす場合が出来る。故に制限の必要がある」

 「憲法改正の順序は憲法の規定に従うこと論を俟たずと雖も其の前に国民投票を行ふの必要あらざるか。国民投票の必要はないとしても民政政友両党の妥協の必要はある。民政政友両党が妥協すれば憲法の改正は出来るが、妥協せざれば出来ない」

 …なお、大日本帝国憲法での改正条件は以下の通りです。

 第73条 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

 まず「勅命」。そして「両議院各々」(つまり貴族院自体も含む)総員三分の二以上の出席とさらにその三分の二を得なければ改正できないわけですが、そのへんはどう考えていたのでしょうか。
 といった現状認識はともかく、私が最初に思っていたよりはるかにリベラル寄りな人ではあったようです。