核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

中山孝一『日本憲法改正論』(1930)

 憲法記念日にちなんだ古書紹介を。といっても、新鮮味のある日本国憲法論議はできそうもないので。
 「大日本帝国憲法の改正」を提唱した戦前の人はいないものか、と探したら見つかりました。

 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1437002

 1930(昭和5)年。そろそろ軍靴の足音が聞こえてきた時代。勇気ある人なのは確かです。
 眼目は第三十七条の改正、すなわち貴族院の権限縮小です。筆者はつねづね政界、ことに貴族院の腐敗を嘆いていたようです。
 歴代内閣総理大臣を論じた箇所では、「伊藤博文 (略)余輩が対支問題の根本解決策を説いたが聴き容れなかった」なんて個人レベルでの評価もあるものの、軍人出身の総理が多いわりに成績不良であるとして、今後の総理の条件の一つに「非軍人であつて欲しい」を挙げていたりもします。
 賛同できない点もありますが(ロンドン軍縮会議での対英米十割論など)、こういう人もいたのか、という心地よい驚きを感じています。