核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎「渡宋の船」(1900)(『槍一筋』収録)

 和田氏の血をひく女傑賤江を主人公に、源実朝の渡宋未遂計画を題材にした歴史小説
 北条氏の陰謀に散った兄、和田胤長(実在)の遺志を継ぎ、賤江は鎌倉に潜入して、主君実朝を北条の手から守るべく暗躍します。
 そこに訪れたのが宋国の僧侶、陳和卿。とは仮の姿で、実は今や蒙古の大王となっていた源義経の密使でした。遠く大陸からの招きに応じ、実朝は日本脱出のための大船建造を計画するのですが…。
 北条泰時が仕組んだ手抜き工事により、船は座礁。脱出の機会を逃した実朝は暗殺されてしまいます。
 そして数年後、承久の乱。関東(北条)軍の前に立ち向かう朝廷軍の中に、一人の女武者の姿が…。
 虚実とりまぜた内容ではありますが、弦斎らしい想像力のはばたきには乏しい気がします。この時期はスランプだったのかもしれません。