『応仁の乱』がヒットしたおかげか、これまで注目を集めなかった時代に光が当たるのはありがたいものです。
時は鎌倉時代、一二二一年。二年前の源実朝暗殺による朝廷・幕府関係の悪化を受けて、後鳥羽上皇が北条義時打倒(本書によれば、倒幕が目的ではないようです)を目的として起こした戦乱。結果は北条氏軍の勝利に終わり、後鳥羽上皇を含む三上皇が配流されました。
私はつねづね三上皇の一人、乱に反対だったという土御門上皇に関心を持っていまして。私がというよりも明治の平和主義者である木下尚江が、大々的に土御門上皇の人格と和歌をたたえるエッセイを書いています。彼の場合は土御門礼賛もさることながら、後鳥羽、ひいては戦乱を引き起こす朝廷そのものへの遠回しな批判を含んでいたのかも知れません。