核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

夏目漱石『三四郎』中の戦争批判

 以前、当ブログは漱石の「従軍行」を全文引用し、漱石が平和主義者ではなかったと論じました。
 しかし一方、先日の小森先生の最終講義で、『三四郎』中に、同じ日露戦争を批判的に語っている箇所があることを知らされました。公正を期すために引用します。

   ※
 自分の子も戦争中兵隊にとられて、とうとう彼地で死んで仕舞つた。一体戦争は何の為にするものだか解らない。後で景気でも好くなればだが、大事な子は殺される、物価は高くなる。こんな馬鹿気たものはない。世の好い時分に出稼ぎなどと云ふものはなかつた。みんな戦争の御蔭だ。
   ※

 ……三四郎の汽車に乗り合わせた爺さんの発言であり、漱石自身の意見の代弁だという保証はないのですが(「従軍行」のほうは「僕の従軍行などはうまいものだ」と自賛しています)、一応引用しておきます。