核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

名作よりも問題作

 評価の定まった名作よりも、まだ評価の定まらない問題作を。それが私の方針です。

 そういう意味では、「琵琶伝」はなかなか好印象でして。

 フェミニズム批評でいくなら、軍国主義と、それに反抗するヒロインの戦いといった感じでしょうか。新婚早々の新郎に「操を破ります」と宣言し、最後にその喉を食い破って殺すヒロイン像というのはなかなか珍しいのではないかと思います。

 しかしその反抗も、亡父の遺言状という、家父長制をタテにした形でしかなされない点に弱さがあるという指摘もあるかもしれません。

 さらにひっくり返せば、女性の敵である家父長制と軍国主義を対立させ、共倒れをはかる点に斬新さを見いだせるかも知れません(結末も共倒れだし)。

 ……男性研究者の私がフェミニズム批評をやるのも気が進まないので、論文を書くつもりは今のところありませんが、気に留めておくべき作品ではあります。