文学で貨幣を論じるとなったら、欠かせない太宰の短編。青空文庫より引用。
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私は、七七八五一号の百円紙幣です。あなたの財布の中の百円紙幣をちょっと調べてみて下さいまし。あるいは私はその中に、はいっているかも知れません。
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擬女性化された100円紙幣の語りで、戦前戦中の世相が語られます。
前例としては、坪内逍遥の「壱円紙幣の履歴ばなし」という小説もあります。
電子マネーが主流化しつつあるご時世では、「貨幣の擬人化」というせっかくのアイディアも、通用しにくくなっていくかもしれません。