専門の文学者ではありませんが、日清戦争を題材にした小説を書いてもいる幸徳秋水。その金銭廃止論(初出『万朝報』一九〇〇(明治三三)・二・九、二二。後『長広舌』収録。以下『近代日本思想大系 13 幸徳秋水集』筑摩書房 一九七五 より要約)。
交換の媒介、価格の標準としての金銭まで廃止しようというのではないそうです。ただ金銭が本来の効用以上に無限万能の勢力を持ち、そのために人心を腐敗する。その「金銭」という意味を絶滅する……そうです。
最後のほうはおきまりの社会主義の宣伝になっています。
わかりづらい論旨で、この文章をまともに分析した先行研究はなさそうです。