(2021・2・19追記 座談会ではありませんでした。訂正してお詫びします)
今回、中島健蔵、三枝博音、小林秀雄、今和次郎、福田恒存の戦時下の座談会を、複写請求したのは、今さら小林秀雄や福田恒存の時局便乗をあげつらうためではありません。彼ら批評家に批評を書かせている欲求と、彼らに戦争を賛美させている欲求は、もしかしたら相似形なのではないか、という仮説の検証のためです。
複雑難解な小説を、暴力的に上から目線で裁断してしまいたいという欲求と、複雑怪奇な国際情勢を、快刀乱麻を断つように「解決」してしまいたいという欲求。実際、小林秀雄は日米開戦を、次のように語っています。
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小林 僕自身の気持ちは、非常に単純なのでね。大戦争が丁度いゝ時に始つてくれたといふ気持なのだ。戦争は思想上のいろいろな無駄なものを一挙に無くしてくれた。
「即戦体制下文学者の心」同人座談会『文学界』一九四二(昭和一七)年四月
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……ほんと、非常に単純です。複雑なものを複雑なままに理解することができない、貧しい知性のあらわれというべきでしょう。
彼ら自称批評家が戦争に依存したメカニズムを明らかにすることで、次なる戦争を阻止する手立てが見つかれば、そのように考えております。