核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

検索しても出てこない塩津誠作

 塩津誠作、鹽津誠作のどちらで検索しても、ジャーナリストとしての略歴が出てくる程度で、軍備全廃論の詳細はわかりませんでした。国会図書館のデジタルコレクションでも、翻訳書『ムッソリーニ』がある程度です。

 私が知りたいのは、塩津の軍備全廃論がどの程度の具体性を持っていたかです。

 日本が軍備を全廃したとたん、他国に攻め込まれたらどうするのか。他のすべての国も軍備を廃絶してくれたとしても、軍備全廃に応じないテロ組織が出現したらどうなるのか。北斗の拳の拳王のような、軍備ではなく素手での支配をもくろむ者が現れたらどう対応するのか。そうした問題に、塩津の論がどの程度答えられていたかです。

 たとえば明治初期の小野梓の場合。世界政府による世界平和を訴えていましたが、世界政府に従わない国があれば「これを懲らす」とも書き、軍事力の完全な否定には至りませんでした。政治小説「愛々草紙」でも、仕込み杖で、襲ってきた山賊を(心ならずも)返り討ちにする主人公を描いています。要するに、軍備を廃絶するための軍備は否定していないわけです。

 塩津の場合はどうなのか。私が求めているのは、「軍備を全廃するための軍備」すら否定できる論です。