山室信一『憲法9条の思想水脈』を読み、初めてこの人物の存在を知りました。
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塩津(引用者注 「塩」は原文では旧字体)は、一九二八年段階で速やかに軍備全廃をおこなわなければ、「次の世界大戦で、この地球上の人類と、文明とは、破滅に瀕(ひん)するであろう」(「軍備縮小より全廃へ」『外交時報』第五六一号、一九二八年四月一五日)と第二次世界大戦が不可避となることを予告し、軍備を保持、拡張しながら不戦条約によって戦争廃止を願うことに矛盾があると鋭く指摘していた。
(二三四頁)
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大日本帝国憲法のみならず、諸外国の憲法すらも改正して軍備全廃を訴えていたそうです。最晩年の村井弦斎を思わせるスケールの大きな絶対平和主義者です。
一九三二年に亡くなっているため、その後の日本の戦争という現実に直面することはありませんでした、塩津の論がどれほどの強度を持っているかは、「軍備縮小より全廃へ」の現物を読んで判断することになりそうです。