核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カントも軍備全廃派か?

 『永遠平和のために』の中で、カントは確かに常備軍の全廃を訴えてはいますけれども、侵略に備えて国民が自発的に武装する場合はその限りではない、なんてことも書いてまして。フィヒテなんかはこれを拡大解釈して、カントが否定したのは傭兵軍であって、徴兵による国民軍はむしろ奨励していたとの論を展開しているようです。

 塩津誠作は「ガンディーなどの国民会議派」をも軍備全廃の例にあげていますが、ガンディー自身はともかく、国民会議派にはチャンドラ・ボースのような武闘派もいまして、塩津の死後ではありますが、日本軍と協力して武装独立勢力を築きました。

 フェビアン協会については未調査ですが(CiNiiなどで検索しても、軍備全廃だったとは書いてないのです)、こうなると、塩津が軍備全廃の非戦思想として挙げた例はどれもあてにならないことになります。

 だからといって、軍備全廃論者が歴史上に存在しなかったわけではなく、塩津と近い時代の日本でなら、木下尚江や村井弦斎が軍備全廃を訴えています。

 ヨコのつながりが希薄なのはこの二人も同様で、尚江と弦斎がお互いの軍備全廃論に言及した文章は、私の知る限りありません。

 「車輪の再発明」にならないよう、自分と同じことをやっている人が他にいないか、よく確かめましょう。今回の教訓。