核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『実業之日本』1918年1月号特集「軍国主義か平和主義か」 その1

 村井弦斎星一の軍備廃絶論と同じ第一次世界大戦下、日本の一般社会では「平和主義」という語はどう受け止められていたのか。それを知るために読んでみました。
 去る1月1日号では建部吉野二博士の説を紹介したそうですが、そちらは未見(そして必見)。まずは今号の一人目、堀越善重郎(堀越商会主)氏の「軍備なき国家は滅亡す」を。

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 世人往々平和主義と称し軍国主義と謂ふか如き言語を弄するものあり(略)平和主義と称し、軍国主義と謂うが如き偏軽偏重(へんけいへんぢゆう)の政策は国家の安全を望む可(べか)らず、(略)国民たるものは経済の発展に勉むると同時に、国防の必要を忘れる可らず。
  (『実業之日本』1918年1月号特集「軍国主義か平和主義か」 10ページ)
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 後もだいたいこんな感じで、「国防なき国家は亡ぶ」「更に軍備の大拡張を要す」の結論で締められています。
 まあ戦時下だし、「平和主義」が空想よばわりされるのは想定内ですけど、「軍国主義」もまた、「国家は侵略を以て樹(た)つにあらざる」と否定されています。侵略ではなく自衛に徹した軍備拡張というのが堀越氏の結論です。
 露骨に軍国主義のドイツが、それほど軍国主義でもなかったイギリスやアメリカに敗けつつあったのも、軍国主義の評判を悪くした原因なのでしょう。