核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

森鴎外『舞姫』の中の「伯」「林」

 ふと『舞姫』中の天方伯、つまり時の総理大臣山県有朋の描かれ方が気になって、青空文庫で読み返したのですが。

 「伯」で検索すると、「伯林」つまりベルリンもヒットして。

 天方「伯」への森「林」太郎の忠誠心を示すために漢字表記にしたのかとも思ったのですが、作中人物の名前はもちろん太田豊太郎だし、カタカナの「ベルリン」表記もあるしで、その説は成り立たないようです。でも、「伯」を「ベル」と読ますのは無理があるでしょ。最初に書いたやつ誰だ。

 なお私は、『舞姫』を悲恋や自我の目覚めを描いた近代小説とは読みません。現役首相への服従のポーズを示した政治文書として読みます。文学国語ではなく論理国語で(それも非論理的な文章の悪例として)扱われるべきです。同じ事は、漱石の『こころ』にも、ある程度あてはまるのですが。