私は最近、古代中国風TRPG『央華封神』に手を出したこともあり、『封神演義』関係をあれこれ調べているのですが、なかなか興味深い論文が見つかりました。
殷の太師、聞仲。歴史書には出てこない、『封神演義』固有の架空の人物なのですが、そうとは思えないほど存在感のある敵役です(「悪役」ではありません)。妲己や紂王ではなく、殷王朝そのものを護るために太公望らと戦い、壮絶な最期を遂げます。
死後は紂王の夢枕に立って諫めた後、「九天応元雷声普化天尊」(一部新字体に改めました)という神に「封神」されます。
その聞仲が、中国で地方劇の主人公としてクローズアップされ、正義の神として扱われ、やがて本当に民間信仰と結びつくかたちで展開していく過程が、中塚論文では扱われています。
フィクションから生まれた神。興味深いテーマです。藤崎竜氏が『少年ジャンプ』で連載したまんが『封神演義』でも、聞仲は威風あふれる敵に描かれてました。