核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

かの美(は)しきエレキの夢

 もういっこ、「邪宗門秘曲」で気になったのは、

 

   ※

 かの美(は)しき越歴機(えれき)の夢は天鵝絨(びろうど)の薫(くゆり)にまじり、
 珍(めづ)らなる月の世界の鳥獣(とりけもの)映像(うつ)すと聞けり。

   ※

 

 の箇所。美しいものを「美しき」と表記するベタさもさることながら・・・・・・エレキ?切支丹とかの時代に?

 例によってウィキペディアその他で検索すると、

 

1902(明治35)年 フランスで映画『月世界旅行』公開

1905(明治38)年 日本の明治座で同作品公開

1908(明治41)年4月 日本の錦輝館で『月世界旅行』公開

1908(明治41)年8月 北原白秋邪宗門秘曲」執筆年代

 

 なので、ごく最近の出来事を詩に盛ったようです。北原白秋が見たのは明治座か錦輝館かは考察の余地がありそうですが。

 この件については、北原白秋を非難するつもりはまったくありません。切支丹とか黒船とか映画とか、時代・地域を意図的にごちゃごちゃにすることによって、どことも知れぬ「異国」を表現する技法なのでしょう。

 「映像す」と書いて「うつす」もなんか範馬勇次郎っぽい。関係ないか。