核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ポル・ポト派もびっくりの福田恒存

 どうも『白く塗りたる墓』(一九四八(昭和二三)執筆時の福田は、己を共産主義に身を捧げた革命戦士と規定していたようです。あるいは、そう他者に見せたがっていたようです。

 書名と同題のアフォリズム集「白く塗りたる墓」で、福田は「ヒューマニズム」を徹底的に侮蔑し、以下のように語っています。、

 

 「社会革命が、いや社会革命のみがなによりも急務である」

 「ぼくはコムミュニズムを信ずるが、その文化活動を信じない」

 「インテリゲンツィアばかりはぜつたいに存在を許してはならぬ。たとへ暴力を用ゐてもこれを抹殺しなければならぬ」

 

 これより後の話ですが、カンボジアの独裁者ポル・ポトが実行した政策そのままです。インテリゲンツィア(知識人)を暴力を用いて抹殺し、メガネをかけている者や美男美女まで皆殺しにし、子供に医師をやらせ、大量の犠牲者と深刻な荒廃を招きました。

 前回、福田恒存は二度転向したと書きましたが(その通りなのですが)、ある意味では信念を貫き通した生涯なのかも知れません。戦争賛美→ポル・ポト共産主義賛美→軍国主義賛美という流れに共通しているのは、死の美化、そのくせ自分だけは安楽に長生きしたいという欲望です。