核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

福地桜痴の知られざる業績 『大英字典』

 連休の午後のひととき、いかがお過ごしでしょうか。
 退屈のあまり博士論文関係の調べものをしていたら、福地源一郎桜痴の意外な仕事を発見しました。
 
 
 慶応2年(1866)年ごろ作成された(しかし完成はしなかった)『大英字典』です。
 上にあげた竹中龍範氏の論文によりますと、最古ではないものの(最初の英和辞書『英和対訳袖珍辞書』は1862年、約3万3千語収録だそうです)、完成してさえいれば当時最大規模(6~8万語収録)の英語辞書になったはずだとのこと。
 桜痴一人の手になるものではなく(だと面白かったのですが。どんな辞書になるんだ)、桜痴が訪欧時に買い求めた辞書を元に何人かが編纂したようです。
 私が評価しているのは文学者としての桜痴であって、教育者としての彼はあまり評価していません(中江兆民とふたりでフランス語塾を開いたものの、集めた授業料で豪遊してつぶれた話は有名。ドロンボー一味かい)。
 が、この辞書には興味があります。peaceだのrepublicだのといった英語を、幕末当時の桜痴がどう理解していたか。機会があれば見たいものですが、香川は遠い…。
 明治期の聖書翻訳を研究してる後輩にも教えてあげたいところですが、かんじんの「H」の部はちぎれててないそうです。「D」はあるとか。
 それにしても、こんな学術論文にさえ、「公務に携わり、学塾を営み、さらにかなり足しげく吉原に通った福地がはたして編纂主任格たりえたであろうか」とか書かれちゃうのが福地桜痴。いや、吉原の花魁から借りた口紅で下書きするぐらい、彼ならやりかねませんけど。
 中将棋にはげみ、ゲームにふけり、ブタのフリー画像検索にいそしむアンタルキダスに、はたして博士論文は書けるのでしょうか。