核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

瀧川修吾「『江湖(ごうこ)新聞』と福地櫻痴」(『日本橋学館大学紀要』第11号 2012)

 福地源一郎桜痴(この論文では「櫻痴」表記)が幕末維新期に発行し、た、「江湖新聞(ごうこしんぶん)」。知名度の割りに知られていないこの新聞の実態に迫った労作です。
 恥ずかしながら、私も実物を読んだことはなく、「こうこしんぶん」だと思ってました。
 現在では、早稲田大学図書館の古典籍総合データベースで全頁を鮮明な画像で閲覧できる、そうです。
 電子書籍などない時代、コピー不許といわれて閉館時間を気にしながら必死で筆写した(追記より)との体験を身につまされるものがあります。遅ればせながら、私も『江湖新聞』を読んでみようと思います。
 なお桜痴の小説については、「文学として如何なる価値を持つのかは不明であるが、社会科学を専攻する者にはその時代の空気を知る好材料といえる」(注(7))とのことです。玉石混交なのは認めますが(石比率が多いのも認めますが)、少なくとも『仙居の夢』『女浪人』の二作品の価値は文学研究者として保証します。その時代の空気というよりも、桜痴がどういう時代を築こうとしていたかの証拠として。