以前にも紹介した『ふしぎな人』収録。月刊誌「たのしい一年生」1959年11月から翌1960年3月まで、さらに「たのしい二年生」1960年4月から12月まで連載、だそうです(同書644ページ解説より)。ふつう学年誌の連載は年度末にきっちり終わるものですけど、一年生から二年生にまたがるとは変わっています。なお、前年度の「たのしい二年生」にも同題の連載をしていまして、同書に収録されています。
あとをつけてきたこばやしくんをおとしあなにとじこめ、「どうだ、こんどこそおもいしらせてやるのだ。ふふふ」といいきになる二十めんそう。ああ、こばやしくんは、どうなるでしょう。
※
そのとき、へんなことがおこりました。
いままで、わらっていた二十めんそうが、
「わあっ」
と、ひめいをあげたのです。上では、バタン、バタンと、とっくみあいがはじまったようです。
二十めんそうは、いいきになっていたので、おまわりさんたちのきたのにきがつかなかったのです。そして、とうとうつかまってしまいました。
「こばやしさん、二十めんそうはつかまったよ。いまたすけるからね」
ポケット小ぞうは、げんきいっぱいさけびました。(同書635~636ページ)
※
あけちたんていのでるまもないまま、ただのおまわりさんにつかまる二十めんそう。
けっこうめずらしいてんかいではないでしょうか。ねんどをまたいだあげくこれかい。