引用は『星新一ショートショート1001 2 1968~1973』(新潮社 1998)より。
2023・12・29追記 あらためて検索すると、星新一「特殊大量殺人機」をデスノートになぞらえているレビューは一件きりでした。むしろ、星新一作品では、「向上」というショートショートとデスノートを比較する方が多いようです。
後半の展開は全然違うので、『デスノート』が盗作だとか言うつもりはまったくありません。
のろいによる殺人術を機械化し、「陽子振動式・特殊選択的・遠隔作用・大量殺人機」を発明したエフ博士。さっそく執行直前の死刑囚で実験してみたら、見事に全世界の死刑囚がすべて死亡。入力がパンチカードというところが前時代的(1960年代?)ですが、一人ずつ名前を書かなくてもいいみたいです。
さっそくこの機械でエフ博士と助手は悪人退治と世直しをはじめるわけですが、産業スパイを通じて財界関係者が機械の秘密を知ってしまい・・・。
(以下ネタバレ)
ついには全人類規模で殺人機が普及してしまいます。使えば必ず報復されるために、結果として誰も他人を殺せない時代が到来してしまうわけです。人間どころか動物さえ。
「エフ博士はため息をついた。もう勝手にしろ。ひどいことになったものだ。生きとし生けるもの、みなそれぞれの立場を尊重しあって、こんな状態を永久につづけていかねばならぬとは。」(160ページ)。
いつかは私の手で、ネガティブではない世界平和を描き出したいものです。ショートショートという形になるかは別として。