核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星一『三十年後』 その8 日本式飛行機

 三十年ぶりの東京を、飛行機で案内される嶋浦翁。『大正初年には墜落又墜落で、空中の犠牲者をどの位出したか知れないもんだよ』とぶるぶるします。
 少々オーバーですが、現実の1913(大正2)年には2件の墜落で3人の犠牲者が出ており、飛行機は安全な乗り物ではありませんでした。
 しかし、そこは大正37年。火力や電力ではなく、他国では採れない鉱物ミタマとミツルギを利用した日本式飛行機です。

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 其ミタマの方は太陽の引力を強度に吸収し、又ミツルギの方は地球の引力を極度に吸収するのです。それを発見した結果、此二個の鉱石を巧みに用ゐて飛行機の原動力に充(あ)てた訳なんです。
  (近代デジタルライブラリー 星一『三十年後』 53/138)
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 無音・垂直離着陸の上に、宇宙飛行まで可能という高性能機。よっぱらいの手放し飛行で月世界まで行きかけたこともあるそうです。
 …しかし、この命名ぶりとか、日本でしか採れないとか。想像の世界ぐらい、国家主義から魂を解放するわけにはいかないもんなんでしょうか。