核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星一 述『自国を知れ 進歩と協力』(1933) より 「飛行機上より見て」

 どうも昭和戦前期の星一には神がかり的なところがあって、この口述本も「生産の神国化 分配の神国化」とか大々的に謳っているわけですが、中にはさすがと思わされるところもあります。

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   八 飛行機上より見て
 一私は地上に於て自己を発見した、飛行機に乗つて人間を発見したと云ふて居る。子供  の時に、神様は天に居ると云ふから、高く雲の上に居るものと思ふて、どうかしてあ  の雲の上に乗つてあの雲の上に乗つて見度いと思つて居つた。
   (略)
 三飛行機から地上を見て、始めてどんなに力を注いで居るか。
  又田畑の耕作にどんなに努力を注いで居るか。
  又山にどんな力を注いで居るか。
  河川・港湾にどんな努力をして居るかを知ることが出来て、人間は如何に子孫の為に  全精力を注いで居るかを知ることが出来たのであつた。
  私は学生に早く飛行機に乗つて人間を発見せよと教へて居る。
  (近代デジタルライブラリー 星一述『自国を知れ 進歩と協力』 31/47)
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 いいこと言ってます。飛行機からの映像など今日では珍しくもありませんが、昭和初期の、それも肉眼で見る空からの風景はさぞ衝撃的だったことでしょう。こっちまではればれした気分になれる文章です。
 ただ、星一がはじめて飛行機に乗ったのがいつかは書いてありませんでした。『三十年後』の飛行機社会と直接に結びつくかどうかはまだ不明です。