また少し、軍備廃絶論の話に戻ります。賀川豊彦と尾崎行雄による、軍備縮小を訴える講演集です。
今回は賀川の「軍備の撤廃せらるまで」を紹介します。のっけから縮小ではなく撤廃。とばしてます。
大正11年という時代背景もあり、第一次世界大戦の惨禍、クロポトキンなどの進化論者からみた戦争の非などが豊富な事例とともに語られます。
私が注目したのは、階級闘争を必然とするマルクスへの反論です。階級闘争は起こらないといっているのではなく、階級闘争による悲惨な事態を防ぐために、軍備撤廃が先行しなければならないという趣旨です。
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カールマルクス、は資本と云ふものは段々進むと自然的に崩壊すると云ふけれども、私はそれは余り信用しない。諸君、大きな資本と大きな社会的富を破壊することが出来たそれは戦争である。
(略。欧州戦争(第一次世界大戦)のような惨禍は、マルクス流の資本主義崩壊ではなく、文明そのものの廃滅であるから)
此惨害、憫れむべき惨害を救ふのは労働階級の自覚に待つより外ないのであります。
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論点があっちこっちへ飛ぶため、要約しづらい講演ではありますが、熱さはひしひしと伝わってきます。問題は軍備撤廃のための具体的なプログラムに乏しいことですが、それは尾崎行雄に期待するということで。