1922(大正11)年。つまり軍備縮小同志会での活動と同時期に書かれた、星一の『三十年後』にも似た未来空想SFです。
その結末、私設裁判で処刑されつつある賀川豊彦(主人公)に、魂の賀川豊彦が述べる弔辞。
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マルクスを尊ばず、レニンを敬せず、自由社会を追求してその行くべき道を語らず、精神革命を主張して、階級闘争を忌避するがごとき曖昧なる態度に出で、味方に悦ばれず敵に尊敬せられず、孤立無縁の薄幸児としてついに十字架の上に倒る。
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コミカルな(そしてアイロニカルな)場面の一部ではありますが、「マルクスを尊ばず、レニンを敬せず」とは本人も自覚していたようです。この時期の賀川豊彦、もしかしたら星一より面白いかもしれません。