『徳島毎日新聞』1906(明治39)年8月16日~24日初出。『賀川豊彦全集』第10巻収録。
「見よ、世界の人類兵器を破壊して一平原に集りて人道を賛美するの時は近づけり」
という一章末尾の名文句が期待をかきたてます。こういう名前のブログやっててよかったと思わせます。
しかし、「どうやって?」についての二章以降になると、どうも当時はやりの社会進化論のようです。
つまり、帝国主義から社会主義への移行は歴史の必然であり(それが副題の意味です)、そして世界的平和への移行もまた、「時間を以て発展せざるべからず」必然、時間の問題であるとの結論です。
要するにポパーのいう歴史信仰じゃないかとも言いたくなるわけでして、結論には残念ながら賛成できません(2015年の今日、世界平和が歴史の必然だなどと思う人がいるでしょうか?)。
二章には「ヘーゲルの歴史哲学」や「エンゲルス、マルクス説」「科学的社会主義」を援用した箇所もありまして、明治39年に18歳の青年がそれらを理解していたということ自体は優秀なのですが、どうも論の方向性にはよくない影響を及ぼしたようです。