核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

尾崎行雄『軍備制限』より 「武装的平和主義の破産」(1929)

 防火のために消防署を増やしたからといって、そのために火事が増えることはありません。
 しかし、「平和のために軍備を増やす」のは、それ自体が周辺諸国への脅威となり、緊張を高める危険性を秘めているわけです。そのあたりを指摘したのがこの尾崎論。

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 第八章 軍備制限の必要
 第一節 武装的平和主義の破産
 
 列国競うて軍備を拡張し、兵力の均衡を以て、平和維持の方便と考へた所の国際平和観念は、過般の大戦乱によつて、粉微塵に打ち砕かれて了つた。
 蓋し戦争の準備をすれば、戦争が起り、平和の準備をすれば平和が来ることは、明白な理勢であるにも拘はらず、過去の世界は、殆ど百年に亙つて、所謂る武装的平和の謬想に迷はされて来た。
 尾崎行雄『軍備制限』(1929(昭和4)年)
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 尾崎のように、武装的平和論に堂々たる反論のできる政治家が、今日にも現われてほしいものです。