核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ムフから見たランシエール

 昨日は休んでしまいました。ムフ祭りを開催したのはよかったのですが、旅の疲れがどっと出まして。
 ランシエールとの合意点について、ムフは以下のように述べています。

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 いまや支配的な、合意を至上とする政治は、たとえいろいろな場所でいやというほど聞かされるにせよ、民主主義における進歩をあらわしているとはとうていいえない。それは結局、ジャック・ランシエールがいうところの「ポスト民主主義」を生きていることの表徴でしかない。彼の見方では、今日、合意を求める実践は、民主主義のモデルとして提示されているが、これは、民主主義の死活にかかわる核心を構成するものの消滅を前提している。
 (略)
 ここでランシエールが指摘しているのは、異なる用語を用いているにしても、私たちと同様に、ポスト政治的な方法が、政治的なものを構成し、民主主義政治に固有の原動力を与える対抗的な次元を消去するということなのだ。
 ムフ『政治的なものについて』明石書店 二〇〇八 四九~五〇ページ
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 ……(略)とした箇所にはランシエール特有の術語に満ちた言い回しが引用されてますが、読解に手間取りそうなのでひとまず略しました。「政治」とか「デモクラシー」とかいった一般的な語に、固有の意味をもたせたがるのは悪い癖です、ランシエールもムフも。
 ともあれムフとランシエールの接点は見つかったわけで。次は『経国美談』との接点を探さねば。