核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

小森陽一『戦争の時代と夏目漱石―明治維新150年に当たって』かもがわ出版 二〇一八

 やっぱり、漱石が平和主義者だったとは思えないなあ。と賛同できない点もありましたが、これはと思った箇所も。
 『虞美人草』の、父親の肖像画が上から見下ろしているという箇所で。

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 皆さんは、上から見下ろす肖像画を見たという方はあまりいないと思います。肖像画の多くは、美術館や展覧会場で立って見ている人と同じ水平目線になっています。オランダのレンブラント以降の肖像画はみな水平目線で、これがブルジョワジーが権力を握って以降の鑑賞する人と描かれている人とが平等な平行目線の肖像画なのです。しかしそれまでの王侯の肖像画は、高いところに飾って、そこから見下ろされる形になっていました。王が全盛の時に肖像画を描いて、その王が亡くなって王位継承する際に、聖職者を媒介にして王冠の授与をする場所の上にその肖像画を飾り、上から見下ろすという形にしました。それが、王位継承と結びついた王侯貴族の肖像画の描き方なのです。
 (一五六ページ)
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 レンブラント!小森先生、参考にさせて頂きます。