とにかく情報が豊富な本です。「19✖✖年〇月、米国務長官が△国と交渉」といった細かな記述が多く、資料としては役立つのですが、核廃絶への大きな見通しは残念ながら見えてきませんでした。それはこの本が悪いのではなく、現実が悪いのです。
実は、「核兵器が拡散した方が世界は安定する」という論者も存在しまして。
ミアシャイマー、ウォルツ、ナイ(『平和主義とは何か』でおなじみの顔ぶれです)といった「核拡散楽観論者」に言わせれば、核兵器は使用した時の破滅的な未来が明らかであるために(「核の水晶玉効果」だそうです)、使用を思いとどまらせようとする力が大きいんだそうです(同署89~91ページ)。
そうした主張を「悪」と決めつける気はありませんが、同意はできません。私の主張はブログの表題にもあるように、核兵器だけでなく通常兵器も含めた廃絶、暴力や恐怖によらずして暴力を止める方法の確立です。