核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

三浦俊彦『戦争論理学 あの原爆投下を考える62問』(二見書房 二〇〇八) その3

 三浦氏も「原爆投下は正しかった」論を絶対とはみなしていないらしく、あとがきでこう書いています。

 

   ※

 本書の「原爆投下肯定論」は、日本人の大多数を占める原爆投下否定論者にとってこそ、便利な叩き台として使えるのではなかろうか。本書の肯定論をすべて論理的に反駁できれば、そのときこそ無敵の原爆投下批判が展開できるはずだからである。

 (略)

 本書を手がかりに、政治的というよりも論理的な熟考がなされ、第二次大戦論から世界平和論へと有意義な展開が生じてほしいと思う。

 (二六七頁)

   ※

 

 ……なんか、「やれるもんならやってみな」的な口吻も感じられますが、フェアな態度であることは確かです。

 62問すべてを反駁するのは私には到底無理ですが、強いて反論の糸口を探すとすれば、本書全体の枠組みが、「慈悲深い殺人のパラドクス」に陥っているのではと思います。つまり、「殺さなければいけないならば、苦痛は少ないほうがいい」という論理の拡大解釈です。このパラドクスは二一三~二一四頁に出てくるので(私は三浦氏の別の本で知りました)、そのあたりを熟読しようと思います。