話し合いで戦争を止める。理想論だ平和ボケだと嘲笑する方もあるかも知れませんが、そうした歴史上の実例は存在します。わずかながら。
たびたび引用した向戌(しょうじゅつ)の弭兵(びへい。戦争廃止)国際会議(紀元前546年)。今回は晋国の韓宣子という人物の発言にスポットをあててみます。
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韓宣子が言うには、
「戦争は民の悩むこと、費用を食う虫、小国の大禍だから、罷めにしようという意見さえあれば、だめとは思っても、承諾せねばなるまい。でないと、楚が引き受けて諸侯を集めるであろう。そのときわれわれは盟主の資格をなくしてしまう」
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前半はまさにその通りですが、「でないと」以下も注意する必要があります。
時代の流れが戦争から平和に移行しつつあれば、平和案に賛同しないことが国益を損なう、という事態も発生するわけです。率先して流れを変えた向戌も偉大ですが、その流れを敏感に読み取った韓宣子もさすがです。
この戦争廃止会議、私が平和学の教科書を編むとしたら、第一ページに載せたいものです。