内村鑑三が日清戦争の時には非戦論者ではなかった、とは広く知られています。
では、非戦論のもう一方の雄、幸徳秋水は日清戦争をどう見ていたのか。
で、『二十世紀之怪物帝国主義』の「征清の役」を読んでみたのですが、「日本人の愛国心は、征清の役に至りて其発越ふんよう……」以下一発で出ない漢字が多いので、意訳してみます。
「日清戦争期の愛国心は、おじいさんからこどもに至るまで、清国の四億人を殺しつくさんばかりだった。冷静に考えろ。狂気、飢えた虎、野獣のたぐいではないか」
次の段落では「(日清戦争は)世界の平和のため、人道のため、正義のためだった。しかし実際に引き起こされた愛国心の本質は憎悪だった」ともあります。
1901(明治34)年、日清戦争から6~7年後になってですが、ようやく日清戦争を否定できるようになったようです。日清戦争当時の秋水については確かなことが言えないので、小説「遠征」をはじめとする資料を読んでから書きます。