大岡昇平という作家を尊敬していた時期もあったのですが、買いかぶりだったようです。
『新女苑』(「昭和十一年一月創刊、小林の講座は創刊号からの連載である」と注1にあります)は(略)小林の文学講座を載せる企画も立てたわけだが、小林は自分でやる気はなく、私を推薦してくれた。しかし編集者はやはり小林の名がほしいと主張し、代作承知で連載したのである。(略)
小林はその時はなんにも言わずに、稿料をそっくりくれたが、あとで酔払った時、「ちゃんとやれば、お前が評論集を出す時はやろうと思っていたのに、いい加減なものを書きやがって」とおこられた。
・・・その明治文学講座なるものは未見なのですが(第五次新潮社全集には未収録です)、わざわざ探す気にもなりません。小林秀雄やその一味に明治文学を教わろうとも思いませんし。
なにもスキャンダルさがしをしているわけではなく、小林秀雄がらみのエピソードというのはこんなのしかないのです(大岡は美談のつもりのようですけど)。6次に及ぶ全集のどこを読んでも、豊かな人間性とかユーモアを感じさせる文章にであったためしがありません。私が小林秀雄にうんざりしている気分をわかっていただけるでしょうか。
「そんなことはない。小林先生はこんな名文も書いている」とおっしゃる方はご指摘ください。
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