別件で昔の
週刊朝日を読んでいたら、
新潮文庫『ひとにぎりの未来』収録の
ショートショート「コビト」の初出を見つけてしまいました。同年8月16日の114~115ページには、「進歩」も。
コピーはとる余裕がなかったのですが、私の記憶にある限り、初出と
新潮文庫版との異同は見つかりませんでした。
星新一の文章なら、かなり細かいとこまで覚えている自信があるのです。
文庫で読む限り、「時事風俗と無縁」な星
ショートショートですが、いかにもはいはい60年代な
週刊朝日の中にあると、明確に「1968年的なるもの」への批判が、ひいてはその背後にある
マルクス主義への批判が見えてきます。 末端の運動員たちが善意に満ちているからといって、その運動そのものが善であるとは限らない、「コビト」のテーマはそういうことなのです。
そういえばエッセイ集『できそこない博物館』でも、
学生運動なんてものは何の必然性があったのかわからない、と書いていました。昭
和文学としての
星新一。実証的研究に値するテーマです。