核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

金森修 『動物に魂はあるのか』 中公新書 2012

 真打ち登場。新書サイズとはいえ、アリストテレスからモンテーニュデカルトアガンベンデリダまで、動物の魂についての哲学史を要約した本です。
 著者自身の結論も、以下のように明白に示されています。
 
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 きっと読者は私にこう問いかけるに違いない。「では、あなたは結局、動物に魂があると思っているんですか。こんな題名の本を出すのだから、きちんと答えてください」と。
 はい、お答えします。トンボやチョウチョに恐らく魂はないでしょう。でも、彼らは魂をもつ人間といっしょにこの世界に住んでいます。われわれ人間は(常に、とまではいえなくても)昆虫でもあたかも魂をもつかのように扱ってやるべきなのです。
 (242~243ページ)
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 当ブログがここ数日問題にしてきた、食用動物については、
 
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 私はこれからも肉を食べ続けるだろうし、世の子供たちにもどんどん食べて、しっかり成長してほしいと思っている。だが、それは、世界の中で人間に相応しい命の形を刻み、実際に食べる以外には無益な殺生はしないという生き方ができる限りにおいて許される、基底的な殺生なのだ。動物を殺したなら、その肉をきちんと食べよう。その代わり、それ以外の仕方で動物を苦しませるのは可能な限りやめにしよう。
 (241ページ)
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 宮沢賢治ジャイナ教徒のごとき厳格な菜食主義者からは反対されるでしょうが、私にとっては妥当な結論だと思います。私はアガンベンと違って、ホモサピエンスは実体であり、他の動物と明確に区別される種だと考えています。だから何やってもいいってもんでもありませんけど。