核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星一『官吏学 第三巻』における国防論

 国民皆兵主義と軍縮論という、かなり独特の組み合わせです。
 欧州の大戦(第一次世界大戦)とは国力総体の対抗であり、軍国主義ドイツの敗因は軍備への偏重にあった、という分析のもとに、星一は以下の結論に達します。

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 故に余の意見は戦術其他特殊の研究の為めの陸海軍を置き墺匈国(引用者注 オーストリア)の経済編成を斟酌して現行の軍備を縮小し、国民皆兵主義を執るべきを主張す。
 (近代デジタルライブラリー 星一『官吏学 第三巻』 80/630)
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 大戦終結から4年にして、彼は軍備廃絶論から軍備縮小論に移行したようです。ワシントン会議下で対米七割が叫ばれていた1922年にあっては、軍備縮小論でも勇気ある発言だったのかもしれませんが…。